■そもそも会計とは?

「会計」には財務会計と管理会計の2種類が存在します。

一般的に使用される「会計」とは財務会計を指す場合が多く、税務申告書に添付する決算書のように、定められたルールに従って作成し外部に提出する決算書を作成するために必要となる会計です。一方の管理会計はあまり認知されておらず、存在すら知らない方も少なくありません。

しかし社内における利益管理を行う上では非常に有用な会計なのです。では管理会計とはいったいどのようなものなのか、そしてなぜ重要なのか注目してみましょう。

 

 

 

 

 ■管理会計とは経営判断をするための会計

管理会計とは英語でManagement Accounting(マネジメント アカウンティング)と言います。上述の通り財務会計は外部報告用の会計ですが、管理会計は内部管理の為の会計という事が出来ます。

性質も異なり、財務会計は過去のデータをもとに一定期間の損益状況や決算日の財政状態を示すものです。一方管理会計はその名の通り、経営を管理し、マネジメントする為の会計なので、過去情報のほか将来発生するであろう概算値も使用します。

まだまだ認知度の低い管理会計ですが、実はとても大きな力を秘めています。なぜなら財務会計からは読み取れない情報を元に、経営の現状をより細かく分析する事が出来るからです。そしてその分析に基づき、経営計画を策定し、採算性や収益を向上させる事が出来るのです。

管理会計が力を発揮するケースは沢山ありますが、例として下記の2つのケースを挙げる事が出来ます。

■将来予測性を高め、経営判断を正しく導く

管理会計は経営判断に役立つ情報を提供することに主眼が置かれています。そのため管理会計では、費用を売上高に比例して発生する「変動費」と売上高の増減に関係なく一定額発生する「固定費」とに分けて集計されます。

例えばA,B,Cの3つの部門毎に、財務会計上の損益計算書が作成されており、A部門は営業利益が最も大きく、B部門はまずまず、C部門は赤字となっている場合を想定してみましょう。この数値だけを見ると、A部門を強化し、C部門の縮小・撤退を検討することが多いのではないでしょうか。しかしこのように財務会計のみを見て将来を決定する事には危険が伴います。

そこで管理会計を導入して、各部門毎の変動費を把握し、各部門の売上高から各部門の変動費を控除した限界利益を把握している場合、もし部門Bが最大の限界利益であるならば、強化すべき部門はAではなくB、という可能性があるのです。また縮小・撤退部門についても、部門Cの営業利益赤字の本質を見極める必要があります。

将来の経営判断に向けて、管理会計の数値は有用な情報を提供します。

■ 現場の目標を明確にし、公正な業績評価を行う

管理会計を導入し、部門毎に売上予算や費用予算を設定することで、現場は、「自分たちがいつまでに何を目指せば良いのか」、などといった目標が明確になります。

例えば、「今期1000万円の利益を出す」ことが経営目標とされた場合、各部門毎に売上予算と費用予算を月次ベースで設定し、実績値との関係で乖離状況を把握し、逐次軌道修正しすることで、目標利益を達成させることができます。

管理会計を導入することによって、経営側は、どの事業部が目標を達成していて、どの事業部が達成できていないのかを横断的に見ることが可能になるので、経営計画を立てやすくなります。

また各部門長は、与えられた予算を指標として、部門内の活動をコントロールすることで順次マネジメント能力を身につけることができます。

さらに部門予算の設定が実態に合ったものであり、実績との達成度合いによって、公平な業績評価を行うのであれば、従業員のモチベーションは高まり、ひいては全社ベースの収益性は改善できます。

■まとめ

管理会計を導入にすることによって、経営者のみならず現場にもメリットがあります。管理会計は、上手に使いこなせば経営に大いに役立つツールとなります。この記事を読んで、少しでも興味を持ったら導入を検討してみてください。

重要な点として、管理会計は提供された数字データを読み解き、使いこなしてゆく必要があります。この点で管理会計に精通した会計士の助けがあると、数字データが持つ意味をより一層引き出す事が出来るでしょう。その真の力を実感し驚かれるに違いありません。

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